2016年9月17日土曜日

PCトラブル:難民続出?Windows10メジャー/マイナーアップデートの罠

 Microsoft最新のパソコン向けOS「Windows 10」。
デスクトップ、ラップトップ、タブレット型のすべてに「一応は」対応できるインターフェース設計により、さまざまな端末にあった操作でこのOSを動かせるようになりました。

Windows 8から引き継がれたオールドユーザーにとっつきにくい部分や、モバイル端末のようなオンライン推奨システム(ストアやヘルプなど)もあり、ちょっとどうだろう、という意見もあります。
不満点が1つ2つだけでもマイナスゲージを振り切るような排他主義の日本人はさておいて、賛否両論あって色々おもしろいことになっているようです。(前のOSに比べれば)

 ところが、そういった試みに反してMicrosoftのアップデート思想はいまだに高機能大容量のデスクトップパソコン/サーバーがベースとなっているようです。

Windows 10は、これまでのWindows OSのようなサービスパック更新型のシステムと違って、定期的にシステムパッケージのアップデートをしています。
通常のマイナーアップデートは、機能修正や些細な追加がメインのためデータサイズは通常のパッチより少し多いくらいです。
このあたりは以前のWindows OSと同じです。

しかし今回、Windows 10では何度か大きめのメジャーアップデート(むしろアップグレード?)が入っています。
これは従来のWindowsで言うところの「サービスパック適用」相当か、その一歩手前程度のものが実行されることとなります。
これ自体は標準機能による更新のため、取り立ててどうということはありません。

しかし問題は、その更新に必要な空き容量です。
このアップデートを保存するだけで数GB、それをインストールするとさらに数GB必要になるのです。
(自身のモバイルPCではダウンロードで5GB、インストール込みで10数GBと表示されました。)

これは、システム用のデータ領域容量が平均的に32GB~64GB程度しかないモバイル系端末、特に安い(=スペック控えめの)端末では、アップデート出来ないか、できても記憶容量の殆どを食いつぶしてしまいます。
そのためか、モバイル系でWindows 10プリインストールのもの、アップグレードテロで強制的にWindows 10に「させられた」端末などで、Windows Updateが失敗するか、成功後に動作不安定になるものが徐々に出つつあるようです。


 これに対応する方法は、「純粋なモバイル系端末だと」正直ありません。
もともとの記憶容量が少ないところに、さらに容量を食うWindows 10を入れたわけですから当然の結果とも言えます。

一応、ラップトップ型タブレット兼用モバイル(MicrosoftのSurfaceみたいなの)であれば、一応抜け道のような更新手段は用意されています。

その方法は、「USB接続の外付けHDD/SSDや大容量SDカード等(少なくとも32GB以上)を接続する」というものです。
これは強制アップグレードテロの時にも少し話題になったものですが、Windows 10ではクリーンインストールだけでなくメジャーアップデートでも、外付けの記憶ドライブに更新データの大半を占めるアップグレード元のデータとシステム復元用データを書き込む形で更新することができます。
外付けが必要なのはアップデート時とシステム復元時(トラブルが起きた場合に限り)だけのようなので、その間だけ接続しておけばOKのようです。
当然ながら、システム領域にアップグレードデータを書き込めるだけの容量(数GB程度)すら残っていない場合は更新不可能なので、その点はご注意を。

ただ外付けの記憶ドライブは、大量生産で価格はだいぶん下がったとはいえそれほどお安くはありません。
もしパソコンやタブレット等のデータバックアップ用に所有しているならそれを流用したほうがよく、このためだけに購入するのは考えものです。
SDカードならそれよりは安くて済むことも多いですが、microSDカードの場合、端末内蔵のカードリーダードライバーがそれに対応しているかが問題になります。

ちなみにアップグレードに失敗すると、設定>更新とセキュリティ>Windows Updateのところにこの外付け機器を使った更新に関するTIPSリンクが出るようになっています。(ほとんど気づかれないと思われますが)


 もし安定したアップデート環境を構築したいなら、システムディスクに保存されたデータを大量リストラするか、システムディスク自体を大容量化するしかありません。

もし大量のアプリなどをインストールしていたり、色々なところから拾ってきたデータ(特に音声や動画など)が溜まっていたりする場合は、削除したりバックアップ用のディスクに移動させたりすることで容量を空けるのが早道です。
また長期間使用している端末なら、システムのクリーンアップ(各ドライブのプロパティダイアログから起動可能)を使うことで、若干容量を空けることができます。
もしWindows 8.1以前のOSからアップグレードし、二度とそちらに戻す気がないなら、その機能を利用して古いOSに復元するためのバックアップデータを削除してしまうことで、大量の空き容量を得ることができます。

システムディスクの大容量化については、システム領域サイズの拡張、システムディスク自体の換装、などが挙げられます。

すでに大容量で「システム」と「データ」の2つ以上の領域に分割して使用しているなら、データ領域を減らしてシステム領域を増やすことで、対処できることがあります。(データ領域の保存状態によってはデータ消滅などの可能性もあり)
デスクトップパソコン(ただしタワー型など拡張の余地がある場合)なら、システムをインストールするHDD/SSDなどの内蔵記憶メディアを大容量のものに交換することでも対応は可能です。

しかしいずれの場合も、メーカー製の端末ではそういった操作や換装などを保証しておらず、実際にやってしまうと無償修理などのメーカー保証が切れてしまうことがほとんどです。
その結果、インストールディスクやリカバリーディスクを新規に準備しないとならず、OSに不具合が発生しても自己責任で対応しないといけません。
また中途半端な知識でやろうとすると、誤った操作や接続方法などによってOSそのものが起動できなくなる状態に陥る可能性も否定できません。
結果として、そういった知識のない人間が行うと、マシンを文鎮化orインテリア化させてしまうことになるでしょう。

 ローエンドのラップトップ・タブレット端末に至っては、そもそもデータインストールする余地すらなく、仮に上記の方法などで更新出来ても動作が不安定になる可能性は否定できません。
メジャーアップデートのたびにインストールメディアを作成してWindows 10をクリーンインストールする、という荒業もあるようですが、端末によってはリカバリ領域が消されてしまい自己責任でメンテナンスしないとならなくなる可能性もあります。
そもそもメーカー側でもそういった端末は「定期的に買い換えてもらう」のが前提なので、たとえそういった事態が起きても「だったら後継機のこれに買い換えるのはどうでしょう(にっこり)」と言われるだけで終わるでしょう。


 やはりWindows OSは、ミドルエンド以上のデスクトップ、ラップトップ(タブレット兼用型含む)以外では「まともに動かせない、動かせても保守しにくい」システムと言えそうです。

Windowsタブレットが欲しい、という方もいるかもしれませんが、いずれ端末買い替えが必須となるであろうWindows 10搭載モデルは正直言って避けたほうが良いでしょう。
中古のWindows 7、新品なら市場にまだあるであろうWindows 8.1搭載モデルの、可能なら32ビット版OSのものを探すのが賢明です。
(32ビット版は64ビット版よりも処理能力がやや落ちますが、そのぶん必須となるメモリーやシステムディスク容量が少なくて済みます)

もしそれでもWindows 10で、という奇特な人は、粗製濫造Android端末のような心も懐も傷まない「ショッパイポンコツマシン」を、定期的に買っては捨て、買っては捨て、で運用することをおすすめします。


 トラブルを回避する、という点ではページの趣旨には合うのですが、メーカーオフシャルとしては推奨されないようなので悩ましかったネタが一つ。

Windows 8.1以前で出来ていたWindows/Microsoft Updateパッチの除外指定ですが、一応Windows 10でもできます。(適用遅延でなく、完全な適用除外)
ただしWindowsの標準機能ではなく、Windows Updateのトラブルシューティングツールの一つとしての提供となっています。
「Windows Update 除外」で調べれば多くの検索エンジンで関連記事(orサポートページそのもの)が引っかかると思うので、どうしても困っている人は自己責任でどうぞ。

ちなみに、適用除外してもしばらくすると復活してしまいます。
これは除外したアップグレードが復活しているのではなく、アップグレードのアップデート(ややこしい!)が適用される時に新たにアップデート登録されるため、復活したように見えるだけのようです。
一応新たに出てきたアップデートを除外すれば消えてくれますが、アップデートをダウンロードしてしまうと更新データとしてWindows内に残り続けてしまうので注意です。(一応消せますが自己責任です)

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