<症例>
- Windows OS でMicrosoft社製以外の入力システム(IME)をインストールしている時、最初のログオン画面でMicrosoft社のIMEが強制選択される、または何も選択されない
- 他社製IMEを「規定の入力システム」にしたとき、起動直後のログオンに限り標準のIMEが表示される、またはIMEが全く起動せず日本語入力できない
<考えられる可能性>
- アカウント「システム」に規定のIME設定が正しく設定されていない
- インストール時、データの追加や設定の書き込みに失敗している
<説明>
かつては、パソコンなどの入力システム(IME)として使用できるのは基本ソフト(OS)にバンドルされた標準IMEのみで、使いづらくても泣く泣く使い続けるしかありませんでした。
しかし最近では、さまざまな企業や有志グループによって色々な種類の入力システムが開発されており、一部を除いて無料で使用することが出来ます。
(使用情報のフィードバック等がついてくるので、「無償」とは言えませんが)
しかし、他社IMEをインストールしている環境にもかかわらず、ログオン時のみ標準のIMEを使用しなくてはいけない、という状況になることがあるようです。
また、起動直後に限って追加したIMEが正しく起動されず、手動で起動するかログオンし直すかしないと日本語入力ができなくなることもあるようです。
このような場合、非常に可能性が高いのは「言語入力設定の不足」です。
その設定を適切に行えば、余程のことが無い限り改善します。
なお、以下の内容は Windows OS 特化となっているため、Mac OS の方は他のサイトを確認されたほうが良いかもしれません。
まず、手動で他社IMEに切り替えられるかを確認します。
コントロールパネルの入力方式設定画面を開きます。(検索ボックスで「入力方式」(カテゴリは「設定」)などと入力すればリンクが出てきます)
ここで他社IMEを規定の入力方式に設定して確定します。
インストールなどに問題がなければ、これで他社IMEが起動するはずです。
もしここで「入力システムの起動に失敗しました」や「0x00000000 の 0x00000000 を参照しました」のような不可解なメッセージが表示された場合は、インストールの失敗などによるデータの破損が考えられます。
その場合は各メーカーのサポートサイトなどに問い合わせ、「問題の発生しない再インストール手順」を調べて実施してみましょう。
多くの場合は、これによって状況が改善します。
一応、単なる「アンインストール>インストール」という簡単な再インストール操作でも改善することもあるようです。
ではここから、IMEを正しく起動できる(であろう)設定を行います。
・ Windows Vista の場合:
- 「管理者権限のアカウント」でログオンする。
- コントロールパネルの「地域と言語のオプション」を開く。
- 「管理」タグページに切り替える。
- 「予約されたアカウント」グループの「予約されたアカウントへコピー」ボタンを押す。おそらくユーザーアカウント制御のダイアログが表示されるので、「許可」して進む。
- 「システムアカウント」のボックスにチェックを入れ、「OK」ボタンを押す。
・ Windows 7 の場合:
- 「管理者権限のアカウント」でログオンする。
- コントロールパネルの「地域と言語」を開く。
- 「管理」タグページに切り替える。
- 「ようこそ画面と新しいユーザー アカウント」グループの「設定のコピー」ボタンを押す。
- 「ようこそ画面とシステム アカウント」ボックスにチェックを入れ、「OK」ボタンを押す。
・ Windows 8/8.1 の場合:
- 「管理者権限のアカウント」でサインインする。
- Windowsキーを押しながらスペースキーを押す。タブレットなどではチャームバーから「コントロールパネル」>「時計、言語、および地域」>「言語」の順で開く。
- 画面左の「詳細設定」を押す。
- 「ようこそ画面、システム アカウント、および新しいユーザー アカウントに言語設定を適用する」リンクを押す。
- 以下、Windows 7の手順4、5を行う。
管理者権限アカウントでログオンするのは必須です。
これをしないといちいち管理者のパスワード入力を求められるうえ、設定に失敗する可能性もないとは言えません。
また、コントロールパネルを開くのが面倒なら検索窓に「地域と」などと入力すれば一発で表示されますが、Windows 8以降はPC設定画面(メトロUIの新しい設定パネル)が開くので注意しましょう。
また、最後の手順で新規に作成するユーザーアカウントの初期入力システムを変更することも可能です。
「ようこそ画面とシステム アカウント」の下に「新しいユーザー アカウント」があるので、これにチェックを入れて確定すればOKです。
新規購入のパソコンなら、IMEのインストールを行った後にこの設定も行っておけば、以降に追加するアカウントの初期設定の手間が減らせます。
なお、複数の入力システムを追加すると Ctrl キーと Shift キーの同時押しで入力システムが切り替わってしまいます。
複数言語を入れていない PC では邪魔な機能ですが、入力方式の設定画面から切り替えのショートカット操作を削除してしまうことができます。
・ Windows Vista/Windows 7 の場合:
- 言語の詳細設定画面を開く。(前述の手順1、2)
- 「詳細なキー設定」タブページに切り替える。
- 「入力言語間」や「入力言語の切り替え」などの項目名を選び、「キー シーケンスの変更」ボタンを押す。
- 「入力言語の切り替え」の設定を「割り当てなし」に変更し、「OK」ボタンを押す。
・ Windows 8/8.1 の場合:
- 言語のオプション画面を開く。(前述の手順1 - 3)
- 「入力方式の切り替え」にある「言語バーのホット キーの変更」リンクを押す。
- 「入力言語を切り替える」を選び、「キー シーケンスの変更」ボタンを押す。
- 「入力言語の切り替え」の設定を「割り当てなし」に変更し、「OK」ボタンを押す。
この設定を行っても言語バーの入力システムの切り替え機能は保持されるので、もし切り替えたい場合はマウス操作でシステム切り替えボタンを操作してください。
ちなみに他社IMEをメインで使う場合でも、標準IMEは削除せずに残しておいたほうが良いようです。
仮に他社IMEが動作不良を起こしたり、特定のアプリケーションとの相性問題で使用できなかったりした場合でも、標準IMEに切り替えて入力を行えるためです。
現状特に問題がない場合でも、基本システムのアップデートやソフトウェアの更新・追加・削除などによって問題が発生するようになることもあります。
<なぜ?>
どうしてこんな現象が起こるんでしょう?
通常、Windows パソコンを起動すると自身のアカウントでログオン・サインインします。
そのため普通に起動すればIMEなども普通に使えそうですが、実はそうではありません。
通常 Windows OS では、OS起動直後はセキュリティのため「
システムアカウント」と呼ばれる特殊なユーザーアカウントでログオン・サインインされます。
このアカウントはシステム保護のために用いられているもので、一般的なユーザー(管理者権限持ちも含む)はこのアカウントの設定を変更できないようになっています。
これによって不正なプログラムによるシステム乗っ取りやハッキングを防ごうとしているわけですね。
しかし同時に、この機能のためにIMEの追加を行ってもシステムアカウントには適用されず、標準IMEを起動してしまうのです。
こうなると、システムと標準ユーザーのIMEが異なることになるので、うまくIMEが切り替わらずに異常が発生してしまう可能性が高くなる、ということなのです。
なお、日本語入力ができなくなるような深刻なケースは少ないですが、入力切替や単語登録を行う言語バーが正しく表示されない現象は高確率で発生します。
Windows 7 以降(Vistaも?)はほぼようこそ画面を経由するようなので、この設定が必須と言えるかもしれません。
IME以外のアプリケーションでも、インストールによる設定の適用はインストールしたユーザーを中心に行われます。
(共通の設定は「すべてのユーザー」という特殊なアカウントに対して適用されています。)
個々のユーザーアカウントについては、それぞれのアカウントで設定しなければなりません。
従って、新しい PC を購入したり古い PC をリカバリしたりした際は、あらかじめ必要なアプリケーション等をインストールした上でアカウント追加した方が良いでしょう。
設定が簡単な方から手を付けてしまいがちですが、PC 関連の設定は「急がば回れ」というのがキーワードです。
以下四方山。。。