2015年3月17日火曜日

日常トラブル:「電源ケーブル」を疑うべき不調

<前兆現象>
  • ケーブルを振ると電源が入ったり切れたりする
  • 製品の角度を変えると電源が入ったり切れたりする
  • これまで問題のなかった使用環境でブレーカーが落ちるなどの障害が起こる
<チェックポイント>
  • ケーブルの亀裂や剥がれ
  • ケーブルのくびれや膨らみ
  • ケーブルの長期間に渡る踏み潰しや固定
<簡単な説明>

 昨今、火を伴う設備を使っていないのに突然発火して大火事になる、という事例が非常に多くなっているように感じます。
その要因は多数あると思われますが、意外と失念しがちなのが「ケーブルの破断」により発生した火花による小火が知らないうちに拡大するケースです。

「たかが火花」と思いがちですが、その小さい火種が密集した住宅地や山の大半を焼き払ってしまう元凶になってしまうのです。


 家電を使用している際、以下の様な状況が多く発生する場合はケーブルの破断を疑ったほうが良いでしょう。

まず、ケーブルを振ったり位置を動かしたりした途端に電源が切れる場合。
そういったケースでは、その近辺のケーブルに破断箇所がある可能性が非常に高いです。

次に、家電の位置を変えた途端に電源が切れる場合。
そういったケースでは、家電の根本に近い部分か、位置を移動した際にたわんだり伸びたりした部分に破断箇所がある可能性が高いです。

そして、これまで問題のなかった家電の組み合わせでブレーカーが落ちる場合。
一般的にはブレーカー落ちの要因となった家電の故障や経年劣化を疑うべきですが、ケーブルの絶縁被覆が破損することにより回路短絡(ショート)が発生している可能性も否定できません。


 通常、ケーブル内部の銅線が破断しても絶縁被覆があるため大事には至りません。
しかし銅線が切れてしまう場合、同時に絶縁被覆の方にダメージが入っていることがほとんどです。
仮に銅線だけが切れている状況でも、そこに通電することで頻繁に火花が発生し、それが被覆を焼いてダメージを与える可能性もないとはいえません。

特に長期間使用しているケーブル類については、定期的に以下の点を確認しておいたほうがよいでしょう。

まず、目視で絶縁被覆に割れや剥がれなどの傷がないかを確認します。
また、ケーブルを軽く曲げて異常がないかを確認します。
この時点で傷などが確認できた場合、すでに非常に危険な状態になっています。

次に、ケーブルに「くびれ」や「はれ」のような通常と異なる状態がないかを確認します。
通常、品質に問題がなければ絶縁被覆を含めたケーブルの太さは均一のため、部分的に太さが異なることはまずありません。
こういった箇所がある場合、

主に「くびれ」は、ケーブルが90度以上の鋭角になるような折り曲げ方や物による圧迫などによって発生します。
折れ曲がった状態を継続するのは破断を誘発する要因になりますので、コンパクトにしたいからといって無理にケーブルを束ねて使うのもあまり好ましくはありません。
家電本体やアダプター類にケーブルを巻きつけるのももちろんNGです。

血管の「はれ」のような異常も、ケーブルの破断や圧迫による変形などによって発生した可能性があります。
このような場合、内部で発生した火花によって絶縁被覆や銅線にダメージが及び、その結果絶縁被覆をふくらませているおそれもあるので注意が必要です。


警鐘が鳴らされている割に意外と失念しやすいのが、ケーブルの長期圧迫による破断です。
本棚やテレビ台、椅子などといったものに組み敷くケースは比較的頻発するため、引っ越しや模様替えの際はもちろん普段からも注意しておきましょう。

古い家屋の場合は「配線を柱に留めるU字状の留め釘」などにも注意が必要です。
強く打ち付けられた部分が破断しやすくなるのはもちろんですが、一度固定されると点検の目が行き届きにくくなるため、隠れた部分が破断していても見落としてしまうことが多くなります。
「木造家屋の火の気が殆ど無いところから出火」という火災には、そういったものが引き金になったケースも含まれているかもしれません。


以下、よもやま

 自身は、「20年近く使っているこたつケーブル」でこのケースを経験しました。

不審に思った要因は「ケーブルを振ると電源が切れる」という点です。
長期間使用していた家電のため本体自体の不具合も考えられましたが、ケーブルの位置を変えると電源の状態が変わったため、ケーブル破損の疑いが濃いと考えました。
実際、昔からこたつの足に組み敷かれることが多かった箇所に絶縁被覆の破損が確認され、ケーブル破断だと断定出来ました。

こたつは可燃物である掛け・敷布団とセットで使用されるもののため、もし気づくのが遅ければ惨事につながっていたかもしれません。
ちょっとした気付きと、その気づきを気に留める心構えが重要だと感じさせられた出来事でした。

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